LabVIEW画面の基本

基本機能

LabVIEWにはいくつかのウインドウやアイコンがあり、それらの役割や違いは初心者にとってはわかりにくい面があると思います。

この記事ではこれらLabVIEW画面の基本について説明することで、疑問にお答えします。

VI

LabVIEWのプログラムは「VI」と呼ばれています。

本記事でもVIと呼ぶこととします。
VIとはvirtual instruments(仮想計測器)の略です。これは、LabVIEWが実際の計測器を模して作ることができるようになっていることから名付けられています。
なお、LabVIEWのプログラムの拡張子は「.vi」となっています。

2つのウインドウ:フロントパネルとブロックダイアグラム

まず、VIを開いてみます。
「File→New VI」で新しいVIを開くことができます。

VIは2つのメインウインドウからなります。

灰色のウインドウは「フロントパネル(Front Panel)と呼ばれるものです。
これはユーザーインターフェースとなるもので、ユーザーが変数を入力したり、計測器からのデータを表示させたりするパネルです。

もう一つの白いウインドウは「ブロックダイアグラム(Block Diagram)と呼ばれます。
こちらにグラフィカルコード(プログラム)を描いていきます。

2つのメインウインドウのほかに「制御器パレット」が表示される場合があります。
これは、フロントパネルやブロックダイアグラムを作成するためのツールを表示するものです。
フロントダイアグラムを選択しているときの制御器パレットは「controls」と表示され、
ブロックダイアグラムを選択しているときの制御器パレットは「functions」と表示されます。
各パネルに対応した内容が表示されますが、ひとまずこのようなものだと思っていてください。

なお、制御器パレットは「×」で消すことができます。
消してしまっても、フロンパネルおよびブロックダイアグラムを選択している状態で、右クリックで同じ制御器パレットを表示することができます。
(誤って「×」で消してしまい、常に表示させたいときは、右クリックで制御器パレットを表示させたあと、ウインドウ左上の画鋲アイコンをクリックすることで表示したままにしておくことができます。)

VIを作っていくときはフロントパネルとブロックダイアグラムの両方を表示させておくと便利です。
あとで説明しますが、多くの場合、プログラムは左から右に進んでいくように配置することが多いので、2つのウインドウを上下に配置すると全体像を把握しやすいです。
フロントパネルもしくはブロックダイアグラムの「Window→Tile Up and Down」を選択するとディスプレイの画面の上下に2つのウインドウを並べてくれますので、この配置が個人的にはオススメです。

プログラムの動作

VIの動かし方には2種類の方法があります。

1つは「1回だけ動作させる」方法です。
フロントパネルもしくはブロックダイアグラムの左上に記された右向き矢印で示された「実行ボタン」をクリックすることで、1回だけ動作します。

もう1つは「停止ボタンを押すまで連続動作させる」方法です。
先ほどの右向き矢印の右隣りにある2つの曲がった矢印が右回りになったようなボタン「連続動作ボタン」をクリックすることで動作します。

動作中のVIは赤丸で示された「停止ボタン」をクリックすると停止します。連続動作ボタンで動作させている場合は、停止ボタンをクリックするまで動作し続けます。

停止ボタンの右隣りの縦棒2本は「一時停止ボタン」です。1回クリックすると一時停止し、再度クリックすると動作を再開します。

これらのボタンはフロントパネルとブロックダイアグラム、どちらにも配置されています。

制御器、表示器、ワイヤ

VIの基本要素である制御器、表示器、ワイヤについて説明します。
ここでは下図の「左側のスライダーの白い部分を左右にドラッグすると、その位置に対応する数値が、右側の箱に表示される」というプログラムを例に取って説明します。

制御器

変数を入力するアイコンを「制御器(control)と呼びます。
この例の場合では制御器はスライダーという形式ですが、ダイヤルやノブ、ボタン、数値や文字を直接入力するなど様々な形式を用いることができます。
このように制御器は計測器の入力デバイスを模した形をしています。

ブロックダイアグラムの制御器アイコンには、右端に白い右向きの三角形が記されています。
これは、制御器のデータがアイコンから右向きに流れていくデータフローの方向を示しています。

表示器

変数を表示するアイコンを「表示器(indicator)と呼びます。
表示器は、グラフやチャート、LED、数値や文字を直接表示するなどの形式を用いることができます。
表示器は計測器の出力デバイスを模した形をしています。

ブロックダイアグラムの表示器アイコンには、左端に白い三角形が記されています。
これは、「制御器にデータが左側から入ってくる」データフローの方向を示しています。

ブロックダイアグラムとフロントパネルの両方に制御器が1つ、表示器が1つ配置されていることがわかります。
このように、ブロックダイアグラムとフロントパネルは常に対応するようになっています。

ワイヤ

制御器に入力されたデータは、制御器に記された右三角形に示されるように右側から流れ出します。
また表示器に入るデータは、表示器に記された右三角形に示されるように左側から流入します。
制御器と、表示器のデータの流れをつなぐものが「ワイヤーです。
この例の場合、制御器から出たデータが、ワイヤを通ってまっすぐ表示器に入力されています。
データの流れる方向は常に1方向です。

定数とノード

下図は、「制御器に円の直径を入力すると、円周と円の面積が計算できる」プログラムです。

ご存じのとおり、円周と円の面積は下記の式で表されます。

  • 円周=直径 x π
  • 円の面積=(直径/2)2 x π

制御器に入力される「円の直径」が、上式に基づいて変形されて円周と面積の情報となり表示器に出力されます。

定数

(プログラムを作った人ではなく)プログラムを使うだけのユーザーはフロントパネルのみを扱います。ですので、ユーザが変更する必要のない「定数」はフロントパネルには表示されないようになっています。

上記の円のプログラムでは、計算式に現れる「2」や「π」はユーザーが変更する必要はないので、ブロックダイアグラムのみに表示されてフロントパネルには表示されません。

定数は「2」のように自由に設定できます。また、π (円周率)や e (ネイピア数、自然対数の底)や、乱数なども実装されており自由に用いることができます。

ノード

上記プログラムではノードとして、四則演算子が用いられています。

ノードにはこの例で用いた四則演算以外にも、比較演算子やブール演算子、また文字列演算子、ファイル操作、種々の数学に関する関数など様々なものを用いることができます。
※ ライセンス形態などにより用いることができる関数に制限がある場合があります。

また自分で関数を作ることもできます。LabVIEWではこれを「サブVI」と呼びます。
サブVIをいわゆるサブルーチンのような形で用いることで、その機能を簡便に呼び出すことができ、プログラムに記載することができます。

まとめ

以上がLabVIEWプログラム(VI)の概要です。

  • フロントパネルとブロックダイアグラムの2つのウインドウから構成される
  • 変数は制御器から入力し、表示器を用いて自由な形式で表示できる
  • 演算子や関数など多数のノードを用いることができる
  • フロントパネルもしくはブロックダイアグラム左上に記載された、右矢印もしくは右回り矢印で動作できる

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