LabVIEWでいろんな色のアイコンやワイヤーが使われていますが、この色の違いが何なのかわからないという方がいると思います。
実は、アイコンの色はデータ型の違いを意味しています。このページでは、LabVIEWで使用されるデータ型とそれに対応したアイコンやワイヤーの色について詳しく説明します。
基本のデータ型の5種類
よく用いられるデータ型としては、大きく分けて基本の5種類があります。
- 長整数(Numeric Long)
- 倍精度浮動小数点(Numeric Double)
- ブーリアン(Boolean)
- 文字列(String)
- ファイルパス(Path)
LabVIEW上で表示すると下記のようになります。
上から長整数、倍精度浮動小数点、ブーリアン、文字列、ファイルパスについて、それぞれの制御器と表示器を左右に配置しています。制御器には適当に値を入れています。

上記を実行した後は右のようになり、制御器に入力した値が表示器に出力されます。
長整数
長整数型は、-2,147,483,648~2,147,483,647の範囲の整数を扱うことができるデータ型です。
フロントパネルの制御器アイコンの左端には上下を向いた三角形の印があります。これをクリックすると数値を1ずつ変化します。
長整数のブロックダイアグラムのアイコンやワイヤは青色で示されるのが特徴です。アイコンの下端にはInteger32bitを示す「I32」が記載されています。ワイヤは細い実線です。
倍精度浮動小数点
倍精度浮動小数点型は実数を扱うことができるデータ型です。扱える数値の範囲は、絶対値の最大値で1.797693e+308、最小値で2.225074e-308です。
フロントパネルの制御器アイコンの左端には上下を向いた三角形の印があります。これをクリックすると数値を1ずつ変化させることができます。制御器の数値が書かれたところをクリックして枠内にカーソルを置いた状態で三角形をクリックすると、カーソルが置かれた桁の数値が1ずつ変化します。
制御器や表示器には図1のような数値を直接入力する形のものだけでなく、スライドやノブ、ダイアルのようなグラフィカルなものも用意されています。
倍精度浮動小数点のブロックダイアグラムのアイコンやワイヤはオレンジ色で示されるのが特徴です。アイコンの下端にはDoubleを示す「DBL」が記載されています。ワイヤは細い実線です。
ブーリアン
ブーリアンは「真=true」または「偽=false」の2値を扱うことができるデータ型です。
フロントパネルの制御器アイコンには、スイッチやトグル、ボタンのような形をしたものが用意されています。基本動作としては、アイコンをクリックすることでTrueとFalseを切り替えることができます。さらに、クリックするとTrueからFalseを切り替えて切り替わった状態を維持するスイッチ型の動作と、クリックした瞬間だけ切り替わり再度元の値に戻るラッチ型の動作をするなど、動作の仕方を設定することもできます。
ブーリアンのブロックダイアグラムのアイコンやワイヤは緑色で示されるのが特徴です。アイコンの下端にはTrue/Falseを示す「TF」が記載されています。
ワイヤは破線で描かれます。
文字列
任意の文字列を扱うことができるデータ型です。日本語も扱えます。
文字列のブロックダイアグラムのアイコンやワイヤはピンク色で示されるのが特徴です。アイコンの下端には「abc」が記載されています。
ワイヤは波線で描かれます。
ファイルパス
ファイルパスを扱うことができるデータ型です。
フロントパネルの制御器アイコンには、直接ファイルパスを入力できます。右端のフォルダ型のアイコンをクリックするとエクスプローラーウインドウが開きますので、そちらでファイルパスを指定することもできます。
ファイルパスのブロックダイアグラムのアイコンやワイヤは青緑色で示されるのが特徴です。ワイヤは波線で描かれます。
複合データ型の2種類
さらに上記を組み合わせた2種類のデータ型があります。
- 配列(Array)
- クラスタ(Cluster)
配列
配列は同じデータ型を複数並べたかたまりです。基本のデータ型5種類のいずれも配列にすることができます。異なるデータ型は1つの配列にすることはできません。例えば、長整数の配列であれば、0, 1, 2, 3, …のような配列を作ることができます。ブーリアンの配列であれば、T, F, T, T, …というような配列を作ることができます。
配列には何番目のデータかという「インデックス(index)」情報が含まれています。インデックスは0から始まりまることに注意が必要です。
配列には「次元」という概念があります。データを1列に並べば1次元配列になります。なお、データとしては縦に並んでいるか横に並んでいるかという情報は含まれていません。
縦横にデータを並べれば、2次元配列になります。この場合は、n行m列という縦横の情報含まれます。さらに3次元、4次元と次元を増やすことも可能です。
下記は、倍精度浮動小数点の1次元配列と2次元配列の制御器と表示器の例を示します。

ブロックダイアグラムの配列アイコンは、配列を構成するデータ型の種類によって色が決まります。図3の場合は、倍精度浮動小数点の配列ですのでオレンジ色です。
ブロックダイアグラムのワイヤの太さは配列の次元によって変化します。次元が大きくなるほど太くなります。
上記を実行すると図の下部のようになります。
クラスタ
配列は複数のデータのたかたまりです。基本のデータ型5種類のいずれを自由に組み合わせることができます。配列とは異なり、種類の違うデータ型のデータを1つのクラスタにすることができます。例えば、倍精度浮動小数点とブーリアン、文字列を組みわせたクラスタを作ることもできます。
ブロックダイアグラムのクラスタアイコンはピンク色で表されます。色自体は文字列の色と同じで見分けが付きにくいですが、ワイヤは縞々の実線で描かれますので、ワイヤの形状で見分けることができます。
特定の(よく使われる)クラスタは決まった形式があります。2種類を以下に紹介します。
1つはエラークラスタです。エラーの有無を表すブーリアン、エラーコードを示す長整数、コメントを示す文字列からなります。ブロックダイアグラムのエラークラスタアイコンやワイヤはマスタード色(くすんだ黄色)で表されます。ワイヤの形状は縞々の直線です。
もう一つは、波形クラスタ(waveform)です。時間情報と時間刻み、波形の値の配列からなります。ブロックダイアグラムの波形クラスタアイコンやワイヤは茶色で表されます。ワイヤの形状は縞々の直線です。
下記は、①倍精度浮動小数点とブーリアン、文字列を組みわせたクラスタ、②エラークラスタ、③波形クラスタの制御器と表示器の例を示します。

上記を実行すると右のようになります。
クラスタと配列の組み合わせ
クラスタを要素としてもつ配列を作ることができます。また、配列を要素とするクラスタを作ることもできます。
例えば、XYグラフを作る場合、X軸の値の配列とY軸の配列を要素として持つクラスタをデータとして扱います。
データ型同士の関係
上図のとおり、ワイヤで繋ぐ際は、同じデータ型のアイコン同士を繋ぐ必要があります。配列やクラスタの場合も、それらを構成するデータ型や次元などを一致させることができます。
異なるデータ型を繋ぐとした場合、ワイヤが点線表示となり、ワイヤ上に赤い×印が表示されてエラーとなります。下記は、長整数の制御器(numeric)を文字列表示器(String)に直接接続しようとした例です。

例外として、長整数型のデータを倍精度浮動小数点につなぐことは可能です。
データ型は変換ノードを用いて変換することも可能です。例えば、長整数や倍精度浮動小数点を文字列に変換したり、またその逆も可能です。
上図には、長整数制御器(numeric)を「number to decimal string」の変換ノードを介して、文字列表示器(String2)に接続した例も記載しています。この場合は、変換ノードにより表示器に文字列データが入力されるため、エラーとなっていません。
まとめ
このページではLabVIEWで用いるデータ型について説明しました。
- 基本のデータ型は、長整数(青)、倍精度浮動小数点(オレンジ)、ブーリアン(緑)、文字列(ピンク)、ファイルパス(青緑)の5種類
- 複合データ型は、配列とクラスタの2種類
- データ型によってブロックダイアグラムのアイコンの色が決まる
- ワイヤで繋ぐ際は、同じ型のデータを扱うアイコン同士をつながなければならない
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